「クロス・マネジ」 男主人公・桜井君の存在意義を考える

この記事は

「クロス・マネジ」に関する駄文記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

「週刊少年ジャンプ」で始まりました新連載「クロス・マネジ」。
主人公は高校2年生(スタート時は1年生)の櫻井君。
下の名前は1話現在では不明です。
膝を壊してサッカー部を辞め、とある出来事を切欠に女子ラクロス部のマネージャーになった男の子。

ヒロインは豊口深空さん。高校2年生。
ラクロスの魅力に取りつかれ、毎日のように河原で一人懸命に練習を積むも、なかなか上達せず…。
ある日櫻井君の指導力に気付き、彼を半ば脅して部に勧誘した元気娘。

てな感じで、この2人を中心に物語が進んで行くと思われるのですが…。
熱血スポ根を軸として、ラブコメを絡めて作品になるのかなと見ています。
今回は、この作品について簡単な雑記を記させて頂きます。

萌え作品の共通項

話は作品から離れて、最近の萌え作品について考えてみます。
「萌え作品」とは。端的なイメージで言うと「カワイイ女の子のキャッキャウフフ」ですね。
「そんな単純なものではない!」と怒られてしまうかもですが、僕はこう思っております。

女子中学生〜高校生くらいの年齢の少女達を中心に。
彼女らの何気ない日常であったり、部活や趣味に没頭する様であったり、些細な会話劇だったりを作品の中枢に据えて描き出した作品。
若しくは、読者(視聴者)が「萌え漫画(アニメ)だ」と定義した作品。
これらを総じて「萌え作品」としているんではないかなと。

んで、これら大抵の作品に共通する事と言えば「病的なまでの男性排除」でしょうか。
彼氏なんて言語道断。
男友達ですら殆ど”存在せず”、果ては父親すら不自然なまでに出て来ない。
父親を”排除”している作品はまた、母親も同様に出て来ない事がありますが、これも「男の影」をチラつかせないようにしているからなのではと思っています。
下世話な話ですが、母親という存在にはどうしたって父親がセットで伴います。
これは例え別れていようと、死別していようとも同じで。
そういった男の影を見せるくらいならば、いっそ母親も出さないようにしている…のかなと考えていますが、恐らく考えすぎ。

兎も角ですね、「萌え作品」には男って(メインでは)出て来ない事が多かったりします。
僕が、「萌え作品」の起源が(恋愛の絡まない)少女漫画であると想っている理由の1つでもありますが…。
しかして、こういった「萌え作品」…女性ばかりが活躍する作品というのは「ジャンプ」では難しいと思っております。

ジャンプの考え方

鳥山先生の漫画…簡単なエッセイとかそんな感じの近況を綴ったような漫画だったと思うのですが…。
その漫画の中で以下のようなセリフがあったと記憶しております。

「女の子を主人公にした軟弱な漫画」

作中で誰が喋っていたのかは憶えておりません。
鳥山先生自身だったか、編集の鳥嶋氏だったか(ラブコメ推進派の彼のセリフとは思えないけれども)、若しくは別の誰かか…。
すっかり忘れてしまいましたが、でも、このような趣旨のセリフは確かにあったはず。

このセリフが指している作品は自作の「Dr.SLUMP」の事であり(あのマンガの主人公はセンベエさんなんだけれどねw)、決して他者の作品批判をしている訳ではありません。

何故今回このセリフをわざわざ掘り起こしたかというと、ここに当時のジャンプの考え方がつまっていると思ったからです。
漫画というのは、編集者が隅から隅までチェックするものです。
(編集部によって、チェックの度合いには差がありそうですが)
世間一般の常識に照らし合わせて、世に出すべきでは無いと判断されれば、例え小さなコマの一言でも修正を要求される。
シーンを差し替えさせられる。
必ずしもそうでは無いとは分かっていますが、それでも基本はこうの筈で。
という事は上記のセリフは、編集部容認の「問題無いセリフ」とも言えると思うのですね。

とはいえ、別に男尊女卑を当時の編集部が推奨していたという事では無いです。
「硬派」の反意語として「軟弱」=「軟派」という言葉を用いただけに過ぎず、これは「WJ」の歴史に関係があると考えられるんじゃないかと。

ちょうど「Dr.SLUMP」が連載されていた80年代頃。
「WJ」には女性キャラを中心とした作品が多く連載されていたようです。
「キャッツアイ」や「きまぐれオレンジロード」もそんな顔ぶれの中にありました。
誌面でこのような状態であった一方で、「ラブコメ排除」の動きも当時の編集長を中心にあったのだそうで。
これは「うる星やつら」、「タッチ」等ラブコメ作品でヒット作を連発していた「週刊少年サンデー」を意識した方策であり、「少年の読む作品である以上、硬派な作品を」という考えの下での事。

前述の通り誌面からラブコメの完全な排除は出来ず、この考えがどこまで浸透していたのかは不明です。
ですが、そういった考えがあった事は事実であり、鳥山先生の漫画のセリフもここに起因していると推測されます。

何度も書くようですが、この考えの浸透度は不明です。
ですが、現在まで確実に根付いている考えでもあるんではないでしょうか。
「WJ」で女性をメイン(主人公)に据えた作品が、未だに多いとは言えないからです。
(ラブコメ作品が増えて来たので、必ずしも少ないとは言い難い事は確かですが)

女性が中心で、男がほぼ出て来ない「萌え作品」。
それを「WJ」でやることは難しいと僕が思う理由が以上です。
まあ、雑誌のカラーや対象年齢層とも大きくずれがあるので、これ以前の問題ではありますけれどもw

まとめ

本作「クロス・マネジ」に話を戻します。
この作品の主人公は男の子です。
でも、彼は作品の主人公ではありますが、「物語の主人公」にはならないと思っています。
作中、もっとも目立って元気いっぱいに画面狭しと暴れまくるのは、深空ら女性部員でしょう。
だから「物語の主人公」は彼女たち。だって、この作品は「女子ラクロス」を描いた作品だから。
非常に自然な事です。

こうすると櫻井君は不要に思えてくるけれど…。
もしも櫻井君がいなくて、ただの「女子ラクロス部の漫画」だったら「WJ」での連載が出来ていたかどうか。
過去の連載作の傾向を見ると、確率的に低かったような気がしてきます。
となると、連載を可能とした理由は、やはり櫻井君にあるのかなと。

マネージャーという立場。
ダメな女子部員達を指導して、強くするという監督のような権限も与えて(これは読切版がそうだったので、この連載版でもそうなると思うという推測)彼を主人公と据えた。
あくまで男の櫻井君の視点で作品を描く事で、女性が活躍しても自然な作風としているから連載が出来た。
ただの邪推ですが、そんな風に考えてしまいます。

作者さんはどう思われているのか分かりませんが。
「女性の活躍を中心とした作品をジャンプでやりたい」ともし思っていたら…。
「女性中心の作品を連載化する確率が低い」という暗黙のルール(?)が編集部内にもしもあったら…。

櫻井君をカモフラージュとした物凄くナイスなアイディアなのかもしれません(笑
この妄想が正しいかどうかは、今後分かる事ですね。
連載が軌道に乗ったら、作風がころっと変わるかもしれない。
櫻井君に下の名前をつけていなかったり(1話で登場しなかっただけだと思うが)、彼の絵をモブっぽく雑に描いているカットが多いのは、彼をそのままモブ化させる為かもしれないw

まあ、読切を読む限りはそんな事にはならないと思いますがw
ただ僕はこの作品が「萌え」(ラブコメ)も「スポ根」も両方追った作品になって欲しいと思っています。
それこそ「ロウきゅーぶ!」が如く。
二兎を追って二兎を得る。
そんな作品になって欲しいです。
(今の所、作風から萌えなんて意識されていないように見えるので、萌え漫画にはなりそうもないですが。
ヒロインを可愛いと思えれば、まあ個人的にはそれでOKかなと。既に可愛いと思ってるしw)

余談。

「ポケットの無い猫型ロボット」をぞんざいに扱わないで。
例えポケットが無くたって、ドラちゃんはのび太君の親友だよ。のび太君が怒るよ。

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