「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」 感想

この記事は

「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」の感想記事です。
ネタバレありますのでご注意下さいませ。

はじめに

「わさドラ」では恒例になりましたリメイク映画の6作目。
僕が見たのは、前回の(2014年)「新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜」以来2本目となります。

オリジナル版が89年ですから、今から27年前ですか。
小学生でしたね、当時は。
懐かしい。
劇場まで見には行ってないのですが(当時は「DB」を中心とした東映アニメフェアの方を見に行っていた為)、上野駅の目の前に大きな看板が出ていたのは覚えてますね。
その後レンタルビデオで見て、原作大長編も読んで…。

ああ、本当に懐かしい。
20数年振りでしたが、意外と覚えているものですね。

中盤までの展開がほぼほぼ原作通りだったのも、「次はあ〜して、ドラがあの道具を出して…」と脳内で思い出しつつ鑑賞出来ました。

あと、山田博士ね。
山田博士(ギガゾンビ)。
まさかギガゾンビの本名まで覚えていたとは(笑
我ながら、無駄な記憶力www
この感想を書くにあたって、改めて先程原作コミックスを引っ張り出して読んだのですが、原作では本名出て来てなかったんですね。
てことは、アニメ版(大山版)の記憶なのかな。

当時は情けない敵役という印象が強かったのですが、リメイク版では凶悪でしたね。
ラスボスとして中々の存在感を発揮しておりました。

という訳で、改変シーンを中心とした感想を。

のび太の物語

「新・大魔境」でも思った事ですが、リメイクではのび太に原作以上の見せ場を用意しているなと。

誰にも頼らないで、家出をする。

原作でも同じことを言って、然しながらドラえもんの道具はちゃっかりと借りて家出をしたのび太。
この辺りは今回も踏襲しつつ、だけれど、原作には無かった「誰にも頼らない」という部分をしっかりと見せてくれていました。

この映画でのび太が「誰にも頼らなかった」点は何処かと言えば、間違いなくペガ・グリ・ドラコを生み出した点でしょう。
ドラえもんの道具ありきとはいえ、複数のアンプルを組み合わせるという子供ながらの自由な発想は、中々に思いつくことではありません。
道具の持ち主であるドラえもんですら予想だにしてなかったのび太のこの功績は、彼が1人で成し得たことです。
「誰にも頼らなかった」と言っても差支えないと思うのですね。

この3匹に、のび太を助けさせるというのは、本当に本当に良い改変だったと感じます。

原作では、遭難したのび太を助けたのは、マンモスに扮したタイムパトロールでした。
栄養剤を与え、信号を手渡して去って行きます。
翌朝目を覚まし、元気になったのび太を”拾い”に3匹が来て、ドラ達を助けに向かうという流れ。
但し、ギガゾンビと戦うことはせずに、ドラ達を助けたらそのまま逃げた為、活躍という活躍は殆どありませんでした。

今回は、マンモスタイムパトロールをオミット。
憔悴したのび太を直接3匹が助けに来てましたね。
かつ、山田博士をしっかりとした悪役に仕立て、最後の戦いの場まで用意。
クライマックスでも大活躍していました。

遭難中にのび太が見た幻でも、原作とは改変。
単なるヒーターとラーメン(どんぶりに足が映えてる不気味ラーメンw)の原作から、のび太の両親がヒーターに温まっていたり、ラーメンを食べていたりと改変。
この幻両親に「誰にも頼らないんだろ?」と言わせ、幻のび太にも「出来ない事をするからだ」的な事を言わせている。

幻の言う事には耳を貸さず、「誰にも頼らなかった象徴」であるペガ達に、のび太を助けさせる。
のび太の指揮で、ヒカリ族を助け出したり(ここも原作には無かった点)、ギガゾンビと戦ったりさせてより強く「誰にも頼らなかった」という点が印象に残るようになっていました。

自立への第一歩というと大袈裟ですかね。
「のび太の成長」とでも形容するのが妥当なのかな。
口先だけでは無い強さがちゃんと描き出されていましたね。

家出って、親としては成長を実感できるイベントの1つなんじゃないかなと親ですら無い僕は考えちゃう訳ですよ。
やがて自立する時の予行演習的な。

大人でも誰にも頼らないで生きるのは難しいけれど、誰にも頼らないという志のようなモノは必要。
それを掲げ、頼る部分はちゃんと周りを頼って、それでも何か1つでも「誰にも頼らないで成し得た」ことを経験した。
そんなのび太を優しく迎えるママ(玉子)に感動しちゃいました。

息子の成長を知ってる訳では無い…どんな家出を経験してきたのか知らない筈なのに、全てを理解してるかのような表情で「おかえり」と迎える。
ママがこういう風にのび太を迎えたからこそ、この映画でのび太が1つ強くなったことが嘘では無いと示してるように思えて、良いな〜と。

映画としての見応え

映画としての見応え。
これもやはり原作を改変して、演出されておりました。

何度も書いてますが、山田博士の凶悪化ですね。
原作には出て来ない道具で部下のツチダマを1体溶かしたシーンは、彼の凶悪さを如実に映し出していました。

ツチダマの応用ぽいでっかいマンモス巨人もそう。
亜空間破壊装置の具体的な使用法も語っていて、凶悪さを増していた。
(やってることは、原作でもリメイクでも小物臭半端無いですけれど)

この悪玉をやっつける為に、のび太達が大立ち回りするシーンは、見応えがありましたし、長編映画のクライマックスとして相応しい盛り上がりがありました。
タイムパトロールが全部持っていくという原作は、個人的には盛り上がりに欠けていたと思うので。

また、この改変に伴う伏線もお見事。
特に良かったのは2点ですね。

1つはドンブラ粉に纏わる伏線。
マンモス巨人をやっつけたお馴染みのひみつ道具ですが、終盤で唐突感無くドラに出させていました。
序盤でタイムマシンを隠すのに使用したのは、原作にはない追加シーン。
先ずは道具を紹介して、更にククルの過去話を改変。
飼いオオカミのロー(でしたっけ?)が戻ってきたというのび太を励ます時の回想でしたが、原作では「鹿を崖に追いやっていた」というところを「沼にマンモスを追いつめた」に変更。
対マンモス巨人でククルに「マンモスを倒すには…」と自然に言わせることに成功してました。

もう1つは、タイムパトロール登場の流れ。
マンモス出さなくてどうするんだろと見ていて思ったのですが、ドラミの存在を思い出して、なるほどなと。
原作にドラミが出て来なかった事は覚えていましたので、ドラミ経由でタイムパトロールが出てくるのかなと予想していたら案の定。
のび太の活躍を増やすための改変とはいえ、タイムパトロール自体は今作に登場が必要でしたからね。
こちらについても登場が自然に見えるように工夫されていて、凄く練られた展開だと感じました。

どちらも強くした山田を倒す為に仕掛けられていたモノ。
これら伏線が効いていたから、強くしても問題無く収束に向かえたと。
トドメも痛快でしたしね。
機械をバラバラにする謎の道具を駆使する山田に向かって、本物の石槍でトドメを刺す。
大昔まで行かなければ威張れない山田を皮肉るような最高にウイットに富んだ方法での決着は、非常に清々しいものでした。

タイムパトロールについて

それにしてもタイムパトロールって割と適当というか大雑把だよな〜。
完全に山をいくつか潰してましたやん。
未来の痕跡を消す為とはいえ、爆破して地形変えちゃダメでしょ。

恐ろしい組織だなぁ。

終わりに

個人的には終盤の盛り上がりの無かった原作は、原作の中でも好きな部類には入っていません。
なので、今回見に行こうか非常に迷ったのですね。

結果としては、見に行って正解でした。
賛否あるでしょうけれど、こういう改変は大歓迎。

「わさドラ」は映画としての見応え、のび太の活躍に重点を置いて作られているのかもですね。
オリジナルでも感じてたことですが、リメイクを2本見て確信しつつあります。

藤子先生のテイストとは異なる気もしますが、僕の感覚にはフィットしてるのかもしれません。
大変面白かったです。

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