「ホップ★ステップ賞SELECTION」って凄い企画だったと思う

この記事は

「ホップ★ステップ賞SELECTION」についての記事です。
夢のある企画だったと思うんです。

ホップ☆ステップ賞

僕が「少年ジャンプ」を読み始めた頃。
「DRAGON BALL」では、超サイヤ人になった悟空とフリーザが壊れゆくナメック星で死闘を繰り広げていた頃でした。
この当時、新人月例漫画賞として「ホップ☆ステップ賞」というのがありました。
今でいう「JUMPトレジャー新人漫画賞」の前身の前身の更に一つ前身ですね。
なんだろう。こういう書き方すると、大昔に思えて来てしまうのが悲しいw

調べてみると、1982年から96年までの14年間誌面で展開されていたようで。
出身者も錚々たる方々ばかり。

「ジャンプ」で長期連載した漫画家さんを並べてみます。
(表中の漫画家さんの名前は敬称略とさせて頂きます)

作家名受賞回代表作収録巻
光原伸87年1月期アウターゾーン1
冨樫義博87年2月期HUNTER×HUNTER、幽☆遊☆白書1
梅沢春人88年1月期HARELUYA Ⅱ BOY 
和月伸宏91年?るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-6
叶恭弘92年1月期エム×ゼロ9
八神健92年12月期密・リターンズ!11
尾田栄一郎93年10月期ONE PIECE13
鈴木央94年ライジングインパクト15
木多康昭95年3月期幕張16,17
村田雄介95年4月期アイシールド2117
岸本斉史96年2月期NARUTO-ナルト-18

で、この賞、何が凄いって、受賞作の一部を集めたコミックス「週刊少年ジャンプ新人漫画賞 ホップ★ステップ賞SELECTION」を刊行していたことです。

上記表の収録巻の列は、このコミックスの何巻に収録されているかを示しています。
唯一梅沢先生の作品だけ収録されていなかったようですが、基本皆収録されていたようですね。

今では、こんな事無くなっちゃいましたよね。
その代わりという訳では無いのでしょうけれど、本誌や増刊号等への掲載率が大幅に上がったりしていますけれど。
ただ、コミックス化って、今考えると本当に凄い事されていたな〜と思うんです。

凄いと思う点

何が凄いと思うのか。
先ずは、下世話な話ですけれど、売れる見込みが余り無い点ですね。
今でこそ、有名な作家さんだらけなので、売れないわけがないと思っちゃいますけれども。
当時はデビューした直後だったり、デビュー前だったり。
「漫画家の卵」の無名状態。
掲載作家をウリにするには弱いです。
青田買いを好む方にとっては、とんでもない訴求力があるでしょうけど。

商売である以上は、一定の売上を上げないと出来ない事ですしね。
それでも19巻もの巻数を重ねられたのは、それなりに売れていたという事なのかもですね。
それが凄い。
ジャンプのブランド力がなせる技なのか、バブル景気の恩恵なのか…。
この企画の後継である「天下一漫画賞」(96年から2003年)でも受賞作オンリーのコミックス化が検討されていたようですが、立ち消えになってしまった事実まで考慮すれば、景気という理由も割かし有りそうです。
理由はどうあれ、刊行され・更に19巻も続いたという事実そのものが凄い。

もう一つ。
そんな漫画家の卵の方々の作品だけを纏めて読める事。
時間が経てば経つほど、価値(商業的・金銭的な価値という意味では無く)が上がる可能性も高いですしね。

本誌や増刊号等。雑誌に掲載された場合は、その雑誌を取っておかないと読み返す事は出来ません。
けれど、雑誌って長期保存に向いた本では無いです。
紙質も長期保存には適さないし、基本は読み終わった時点で捨ててしまう物です。
だからこそ、「まんだらけ」等では高価買取対象になってたりするんですけれど。

そんな雑誌とは違い、コミックスとなると、コレクターアイテムとしての側面が強まります。
長い間、読まれる可能性(読者の手元に長期間残る可能性)が雑誌に比べると高まる訳です。
本屋さんなど市場でも、雑誌以上に長期間売る事の出来る商品でもありますしね。

大成した作家さんならば、個別の短編集を出されたり、または連載作のコミックスに併録したりなど、読める機会は増えますけれども。
ただ、1冊で複数の作家の、しかもデビュー作ばかりを読める機会は、本当に少ない。
グダグダ書きましたが、ようは「今や大作家のデビュー時の作品を纏めて読める」点が凄いじゃないですか。

デビュー時はどんな絵柄で、どのような物語を構築されていたのか。
今の作風と比べてみるのも面白いですし、絵柄などの変遷を追ってみるのも面白そう。
漫画家を志す方にとっては、最高の教科書(・攻略本・参考書)にもなりそうです。

漫画家さん側からすると、非常に恥ずかしいと思われている方もいらっしゃるかもですが、漫画好きには割と堪らない企画だったんじゃないかなと思うんです。
あ。若しかしたら、そういう楽しみ方を望んでいた方々が、当時買い支えていた可能性もあるのかもですねw

終わりに

「ホップ★ステップ賞SELECTION」というのは、新人発掘・起用に力を注いでいる「ジャンプ」らしい発想だな〜とも思いました。
別にこの手の企画が「ジャンプ」がオリジナルだとも、他の雑誌でやった事が無いとも言いませんけれど。

自分達が見つけ、世に出したい漫画家の卵達を広くジャンプ購読者以外にも見て貰いたい、見せたいという気持ちがあったのかもしれませんね。

また、漫画家サイドにとっても本誌などに掲載とはまた違った「ご褒美」にも思えます。
受賞作全てがコミックスに収録される訳では無いというハードルの高さも、投稿者にとっては励みになりそうですしね。

とうに絶版になってしまった「ホップ★ステップ賞SELECTION」。
文庫化などはされておらず、読める機会があるとすれば古本屋くらいでしょうか。
読む事は難しいのですが…。
復刊とかしてみても面白いのかもな〜とか。
寧ろ今の方が需要はありそうなんですけれどね。

当時買っとけば良かったと後悔先立たずですもの。
買おうかなと思う事はあったんですけれどね。
勿体ない事したな〜。

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