「ライアー・ライアー」第5巻 感想 伏線の基礎は右手をそっと添えるだけ

この記事は

「ライアー・ライアー」第5巻の感想になります。
ネタバレあります。

はじめに

記事タイトルの「伏線の基礎は右手をそっと添えるだけ」の部分は、「SLAM DUNK」の「左手は添えるだけ」を意識してみました。
どうでも良いですね。
ただ、「SLAM DUNK」の名台詞をフィーチャーしたことに意味は無いのですが、一応記事内で書きたいことの意図は込めています。

伏線と右手。
これをキーワードにして5巻のネタバレ感想をします。

天才たちのラブコメ頭脳戦

ラブコメ特盛展開を作品の主旨である決闘に組み込んで、かつ、6巻への前振りとしている構成。
さらには、緋呂斗の探し人についてのヒントを盛り込むというお得な内容となっていました。

特に感心させられたのがラブコメと決闘のコラボレーション。
作品のテーマの中で、他のことをやるという展開は、僕は大好きなのです。

例を挙げれば、「金田一少年の事件簿」の墓場島殺人事件。
ラブコメシーンそのものが密室トリックの伏線となっていて、当時は同様に感服したものでした。

話を戻します。
今作には元来ラブコメ要素はあるものの、あくまでも作品の主眼は学生たちの決闘で行われる頭脳戦です。
スリル、サスペンス、シリアス。
およそコメディとは縁遠い要素で構成される嫌いのある決闘に於いて、ラブコメを主体とする決闘を描かれては、反応せざるを得ません。
これがまた巧い事溶け込ませられているならば、尚のこと。
感想を聞かれれば、面白かったの一語で言葉が足りちゃいますね。

さらには、6巻以降で当たるであろうライバルたちの顔見せが絡んできているのだから、満足度はストップ高です。
ライバル関連で個人的に最も嬉しかったのは皆実雫の再登場でした。
虚ろな感じの気だるげ少女、好き。
5巻の初登場時より密かにマークしてました。(←お巡りさん、こいつです。)
ビジュアルは可愛くて、6巻では彼女のことを全力で応援しようと思います(笑

藤代君・真野ちゃんカップルの再登場にも期待大ですね。
不器用な優しさを見せる少年と、ちゃんとそこに目を配れる少女のカップル。尊い。

その他、枢木さんの意外な一面を見せたりとキャラ描写面でも楽しく読ませていただきました。

と、5巻も色々と堪能した訳ですが、読者の関心を最も多く集めたと思われるのが緋呂斗の探し人の件ですね。
彼が嘘を貫いてまで島に残り続ける理由であり、ラブコメ的にも初恋の相手という姫路と更紗の最大のライバルとなる存在。
物語的に大きな波乱をもたらすであろう存在について、5巻にして大きく進展がありました。

既に緋呂斗は初恋の少女に再会している!!

つまり、この5巻までに登場しているという事実が明かされた訳ですが…。
と、勿体付ける意味は無いですね。

姫路、君なのかい?

右手を口元にやりすぎ問題

何の捻りも無く自然と考えれば、姫路が緋呂斗の探し人となります。
勿論油断は禁物です。
読者を騙すことにも力点の置かれている本作に於いて、意外な人物が真の探し人かもしれません。

まさかいつもの仏頂面は、緋呂斗が追ってきたことの喜びを隠すためだったなんて…。
先輩としてのつまらぬ意地で、自分からは名乗り出れなかった不器用な点も可愛らしい♡

 

冗談です。
ただ、王道を外す展開は十二分にあり得ます。

そんなことを考えつつ読んでいたわけですが、5巻でやたらと目についたのが緋呂斗の癖ですね。
彼は思考に沈むとき、右手を口元に寄せる癖があります。
4巻の時は殆どなかったので、余計に目立ったのかもしれません。
振り返ってみれば、1巻から何度も何度も繰り返されてきた彼の癖。

いざ注視してみると、どうも同じ癖を持つ女の子がいることが分かります。

そっと右手を口元へ遣り、頭の中で計算を始める姫路。

(1巻「嘘つき転校生はイカサマチートちゃんとゲームを制するそうです。」より)

そう言ったきり右手を口元へ遣り、そのまま黙り込んでしまう姫路。

(2巻「嘘つき転校生は小悪魔先輩に狙われています。」より)

可愛らしい仕草で右手を口元まで持っていく姫路。

(3巻「嘘つき転校生は偽お嬢様のニセモノを探しています。」より)

記憶も確かでない幼い頃から同じ時間を過ごした緋呂斗と少女。
癖というのは存外、他人から影響されることも多いです。
緋呂斗の癖が少女に移ったのか、少女の癖を緋呂斗が真似したのか。
何れにせよ、緋呂斗と少女は同じ癖を持っていても不思議じゃありません。

そこでこの癖です。

2人ともに集中して考えたい時や思考に没頭する時には、右手を口元にやるのです。

伏線…と考えられるかもしれません。

とはいえ、考えるときに手を口元に持っていくことが彼ら独特の癖という訳ではなく。
広く一般的な癖の1つです。
現実世界で見かけることは少ないかもですが、フィクションではお馴染みですね。

だから、同じ癖を持つのは、本作に於いても緋呂斗と姫路だけでは無いのです。

それらを全て聞き終えると、彩園寺は右手を口元 へ遣りつつ小さく一度頷いた。

(2巻「嘘つき転校生は小悪魔先輩に狙われています。」より)

俺の発言に対し、彩園寺はそっと右手を口元へ遣った。

(3巻「嘘つき転校生は偽お嬢様のニセモノを探しています。」より)

深淵なる伏線なのか。
はたまた別に伏線でも何でもないのか。
どっちとも取れる(むしろ後者の方が自然で、伏線と考える方が無理筋)のですが、果たして。

伏線だったら面白いな。

終わりに

6巻は、大いに盛り上がった5学期交流戦編以上の大規模ゲームが描かれる…っぽい?
(流れからするとそうなると思われますが、番外編的なエピソードが差し込まれる可能性もあるので、断言は避けます)
あの面白さを超える可能性があるとなれば、かなり楽しみですね。
期待大で待ちます。

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