「サムライ8 八丸伝」第1話感想

この記事は

「サムライ8 八丸伝」第1話の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

とんでもないビッグニュースという感じで、界隈を盛り上げている「サムライ8 八丸伝」。
ちょっとした情報が出る度に、yahooニュースで見かけておりました。
「NARUTO」の岸本先生の新作というのは、それだけ期待感が高かったのでしょう。

そうして始まりました「サムライ8 八丸伝」。
岸本先生のアシスタント出身だという大久保彰先生を作画担当につけての船出です。
今回はこの漫画の第1話の感想を記します。

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©岸本斉史/大久保彰

絵が良かった

一言でいうと面白かった。
さほど期待していたわけではないので、意外でした。

まず目についたのは、大久保先生の作画です。
予告漫画では不安感もあったのですが、本編ではその不安感を覚えることなく、寧ろ初期の岸本先生を彷彿とさせる筆致だったのが個人的に好感触でした。

というのも、岸本先生の「NARUTO」後半からの作画よりも前半の作画の方が好きだったからです。
アニメに影響を受けてタッチが変わったというのを耳にしたことがあります。
実際のところは不明ですが、タッチが変わったのは事実ですね。

前半は、どこか荒々しさもあり、スピード感のあった絵というのが僕の印象。
細部まで描き込んでいて、非常に見ごたえがありました。

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©岸本斉史
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©岸本斉史

後期は、線が減りましたよね。
これが大きい。
シンプルな絵になって、迫力を欠いてしまった感がありました。

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©岸本斉史

(画像はNAVERまとめから拝借しました)

僕は断然前半の頃の絵が好きで、だからこそ大久保先生の絵に感動を覚えるくらいには嬉しかった。
前半といっても、第1部終盤の「サスケ奪還編」の頃に近いかな。

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©岸本斉史/大久保彰

動きと迫力がありますよね。
剣の影まで描き込んでいて、芸が細かいところも良い。

表現力という点においては、岸本先生にまだまだ及ばず、たまに何が起こっているのかパッと見で判別できないコマもありましたが、全体的には好印象。
侍がアンドロイドであるなどSFを取り入れつつも、戦国時代あたりを想起させる世界観の中で、どこか泥臭さを持った絵は非常にマッチしていると思いました。

是非是非このままのクオリティを保ちつつ、さらに連載を経て上手くなった絵を見てみたい気持ちでいっぱいです。
岸本先生が線を減らすという方向性に舵を取ったのとは対照に、描き込み量を保ちつつもより上手い絵を目指してくださると嬉しいな。

お話も良かった

「NARUTO」でいうナルトとイルカ先生の関係の焼き直しと言えなくもない導入部でしたが、やはり王道はいいですね。
多分技術的には、「NARUTO」の方が難しいことをされてたと思うのです。
血の繋がりのない先生と生徒という間柄でしたから。
第1話だけで読者が感情移入するだけのドラマを練り上げていたのですからね。

今回は親子なので、2人の絆を示すという点においてはやりやすくなっているのかなと。
それでも、第1話のドラマパートとして満足感が高かったのは、父ちゃんの八丸を想う親心が少ないセリフでしっかりと描かれていたからです。

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©岸本斉史/大久保彰

「…いくら嫌われようがお前を守るためならなんとも思わん。それが親だ!!」
特にこのセリフ。
あまりにもストレートに本音をぶつけているところがさ、良いよね、とっても。

これは僕が子供がいてもおかしくない年齢だからなのかもしれません。
(子供がいてもおかしくない年齢というだけで、子供がいたら驚かれるほど女っけがありません 涙)
学生の頃だったら、八丸の方に感情移入してたかもしれない。

いづれにせよ、親か子、どちらかに共感を抱けるような普遍的な感情をしっかりと描かれているので、「絆を描きやすい」とはいえ、陳腐にならずにいたと思いました。

で、人間ドラマを複雑にせずにシンプルにしたのは、設定がもりもりだからなのでしょうね。
岸本先生が連載前のインタビューで「SFは設定が多くなりがちで少年漫画では難しい」的なニュアンスのことを仰っていました。
確かに色々と独自のSF設定が出てきましたし、もう暫くはこんな感じでもりもりと説明があるのでしょう。

故に、世界観の描写に複雑な分、人間ドラマも複雑にしたら、全体として読みづらくなってしまうという配慮が働いていたのかなと。
こう考えると、纏まりが良く思えたのです。
SF設定にしても、肝心の人間ドラマにしっかりと絡ませていて、「今回説明しなくてもいい部分」はしっかりと後回しにされている。
設定説明が多かったけれど、過剰になってはいなかった。
読みやすさの大きな要因だったんじゃないでしょうか。

さてさて、八丸が侍となった第1話。
物語としてはこれから残り6つの鍵を探す旅が始まるのでしょう。
文字通り宇宙を股にかける大冒険が。

だけれど、それはあくまでも達麻のドラマなんですよ。
彼が達成したい目標であって、現時点では八丸の目標ではありません。
言っちゃえば、その旅に八丸がどうこうする動機がまるで無いんです。

話を転がすためにも、ナルトでいうところの「火影になる」的な夢はどうしても必要になるはずです。

じゃあどうなるのかって部分が次回の注目点ですね。

僕としては、親子の絆を使って欲しいところ。
父親はどうやって「血吸」の剣を手に入れたのか。
その疑問を解明しつつ、7つの鍵を揃えないと父親が危ないと繋げられれば「親孝行の為」という分かりやすい目標が立ちます。

より第1話のドラマも活きてきますし、このような動機付けがあると嬉しく思いますが、果たして…。
次回以降に注目ですね。

終わりに

密かにどんなヒロインが出てくるか楽しみではあります。
今回八丸以外のメインキャラはまったく影も形もないですからね。
出ない…ってことはないでしょうから、期待。

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