「終末のハーレム」 動かない物語と詰めの甘いSF設定

2巻まで読んだ

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昨日「終末のハーレム」を手に取り、購読しました。
作画担当の宵野先生はエロマンガの方でご活躍の作家さん。
知ってましたw
絵の上手さは折り紙つきで、2巻の表紙の子が可愛かったので、惹かれたのですが…。
正直に言うと、3巻読んでみないとなんとも言えないという感じです。

少々批判めいた事を書きますが、ご了承下さい。

設定の甘さ

近未来。
謎のウイルスによって男性の99.9%が死滅した世界。
生き残った男性がハーレムを迫られるも…。

なんともどこかで見たことのある世界設定で新鮮味がありません。
こういうこと書くと、批判してるように思われるかもですが、必要な事なので敢えてツッコみます。
世界観の設定の詰めが甘いんです。

高度に発達した科学世界に於いて、ロボットが全てを行い、人間は基本働かなくても良くなったという設定。
こうなると、通貨というものが存在しなくなったと考えられます。
食料は、配給という形で全人類に行き渡ると考えられるのですが、嗜好品や趣味の品、服装などは、一体どうやって手に入れているのでしょうか。
対価も無く、自由に好きなモノを好きなだけ”買える”のでしょうか。

何故こんなことを突っ込むのかといえば、怜人と絵理沙の絆の描写に関係してくるからです。

仕事とは人生の充実感を得る為に一部の物好きや使命感に駆られた者のみが従事する

と説明されており、2人が愛犬の為に研究医として従事する事を決めたのは、まさに「使命感に駆られた」からであります。
しかし、このシーンおかしいのです。
愛犬が罹患した難病を治す薬を作ったって、「儲からないから」と言っています。

労働から解放され、殆どの人が働いていない世界で、「儲かる」という尺度が何故存在するのか?
仕事をしても、対価として物理的に何かが得られるという説明はありません。

この辺の説明がされていないから、2人の絆の深さが充分に描ききれていないんです。

動かない物語

更にいえば、物語展開が非常にスローです。
2巻まで読んでも殆ど展開していない。

1巻のアオリ文句で「近未来エロティックサスペンス」とあります。
「近未来」と「エロティック」は十分備えている。
けれど、「サスペンス」要素は2巻第9話(厳密には第8話最終ページ)から漸く顔を覗かせて来る。

世界中の男性を抹殺したMKウイルスは自然発生したモノでは無く、人間が故意に作り出したものだとヒロイン・絵理沙が突き止めていた事が分かります。
誰が敵か分からない。
故に彼女は消息を絶ったと推測され、主人公・怜人は、見えざる敵と戦いながらMKウイルスを殺すワクチン作成を推し進めていく…という展望が見えてきました。

 

話数的には8話と早い方に感じるかもですが、ページ数的には2巻の半ば。
もしも「週刊少年ジャンプ」でしたら、絶対に出来ない展開の遅さです。

「ジャンプ+」は懐が深い

「ジャンプ」とは読者層が全く異なるのでしょう。
「ヤングジャンプ」に近い読者層なんじゃないかな。

年齢が上だから、読んできた漫画の量も、「ジャンプ」主要読者よりも多い。
故に、スローテンポの漫画も読み慣れていて、マイナスと捉えない。
実際メイン読者層は22・23才の男性。
【新文化】 – 連載 第8回 – 変わるマンガビジネス
作家を育てる為に、少々荒削りでも長い目で見ようということなのかな?
違うか。
本作は人気が出たので、単純に面白いから続いてるのか…。

「ジャンプ+」の中では人気作の様ですが、2巻まで読んだ感じでは、僕にはあまり刺さりませんでした。
個人的にはもう少し物語展開を早めて欲しいかな。
つまらなくはないけれど、諸手を挙げて絶賛するほどでもないので。
一先ず3巻は買います。

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