「友達の妹が俺にだけウザい」第4巻感想

この記事は

「友達の妹が俺にだけウザい」第4巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

やっぱね。
何度か書いてますけれど、電子書籍の欠点は特装版がある時ですよね。
オーディオドラマの配信版付属付きとか作って欲しいのよ。
この辺は、本当まだまだ紙版には敵わないというか、電子書籍で買ってることのデメリットだよなと。

さておきまして、第4巻読了しました。
ウザかわに気づいちゃったの巻でしたね。
感想です。

構成について生意気にも想ったこと

構成としては、「うん?」とやや首を傾げたくなりました。
3巻で菫にとって非常に重要なエピソードに入りました。
シリアス回は、キャラクターに厚みを持たせる上で避けては通れない道。
「シリアスなのか…?」とやはり首を傾げざるを得ないほどコメディテイストで彩られつつも、菫というキャラの根幹に触れる部分には確信をもって切実なドラマがあると思っておりました。
だからこそ4巻へと続く構成には、「ここで切るのか…」と感じた以上に納得感があったのです。

そうして初の前後編構成として打ち出した以上は、大きな事件の末に菫の内実が暴かれるクライマックスへとなだれ込むのかと妄想し、4巻を読み進めてみたら…。
や。
確かにドラマはあったですよ。
菫というキャラを語る上で、避けては通れない道だとは思いますし、しっかりとケジメというか成長は描かれていた。
そこに何の不満も無いし、寧ろこういったどこかコメディ調の軽めのドラマは、らしさも感じました。

しかし、まさか4巻の半分ほどの分量で解決しちゃうとは…。
これはあまりにも予想外でした。

この分量で収まるのであれば、多少ページ数をかさ増ししてでも3巻内ですっきりと終わっても良かったのではないか…。
ちょうど「菫編」を読み終わった時点ではそんな風にも考えていました。

こういったことに「正答」なんてものは無いのですけれど、実際3巻に収めていても問題は無かったと思います。
構成的にはスッキリとしますしね。
3巻は菫編、4巻でカナリア別荘編と纏めてあっても違和感は無いと思うのです。

ただ、「明照の彩羽への気持ちの変遷」に着目すると、「僕の考える分かりやすい構成」よりも現実の構成の方が「正解」なのですよね。
プロの作家さんと編集さんが考えられた構成の方が秀逸なのは、当たり前っちゃ当たり前の話なのですけれど、改めて自分の見方はずれてるなと感じましたね。
「4巻では何を魅せたいのか」。
菫のエピソードもさることながら、明照のドラマを魅せたかったら、この構成の方が伝わりやすいのは確か。

彩羽の魅力に遅ればせながら気づいた明照を描いた前半。
後半では、自身の「5階同盟」に於ける立ち位置をカナリアによって考えさせられ、彩羽に諭されることで自覚する。
その中で彩羽への気持ちの整理と「彼女たちの気持ちに向き合いつつも、どうありたいのか」を明確に示す。

ラブコメとしての作品の方向性が決定づけられたという意味でも大きかった気がしますし、なによりこの先の展開によっては何度も読み返したくなるような巻にもなった気がするんです。
彩羽が明照を1人のクリエイターとして特別な存在であると認識している最大の理由がさらっとではありますが描かれました。
勿論曲者だらけの「5階同盟」を纏めている姿を間近で見て来たというのもあるのでしょうけれど、それより前に乙馬とのことで「認めて」いたのですね。

過去、彩羽と乙馬の関係がここまで冷めていたなんて…。
「今」の乙馬しか知らないので、4巻で一番の驚きだったかもです。
今回の描写だけでも十分な気もしますが、当時の乙馬の「彩羽を含めた周りへの興味の無さ」が今後語られれば、一層彩羽の気持ちに共感できるんじゃないかなと。
そしたら、彩羽の明照への信頼についても一層理解が深まるし、今回の話も読み直すことでより深く納得できる気がします。

明照の考え方に感銘

本筋とは関係のない部分ですけれど、明照の考え方は、見習わないとなという点がありました。
本文から抜粋。

人間なんてしょうもない生き物で、自分が大勢に評価される成功者だと認識した途端に成長は止まり、万能感を得て傲慢になっていき、やがて衰退と没落の道に堕ちていく。
盛者必衰は世の常。
歴史を紐解けば、駄目になった企業や人の例は枚挙にいとまがないわけで。
自分だけは大丈夫なんて、思える方がどうかしている。

ブラック企業が嫌で起業したビジネスマンが、自分も部下にパワハラしてるという下り含めて、人間の業について頷くばかりでした。
いつまで経ってもパワハラ勘違い人間がいなくならない理由の1つなのかもなと感じた次第。
明照は過剰に意識しすぎな嫌いがあったものの、自戒的な意味を込めて天狗にならないよう自分に言い聞かせるというのは、アリなのかもしれないですね。

終わりに

5巻の予約が早くも始まってますね。
彩羽のことが真白にばれてしまいましたが、次は、真白のことが彩羽にばれるのかな?
楽しみにしつつ…電子書籍でも特装版を出して~と最後に祈りを込めて書いておきます。
(本気で欲しければ紙版で買えよって話ですよね。すみません)

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