「幼馴染が絶対に負けないラブコメ」第5巻 感想 最強の負けヒロイン「朱音エンド」への布石を感じた

この記事は

「幼馴染が絶対に負けないラブコメ」第5巻の感想です。
ネタバレあります。

こっそり読んでた。

第1巻が発売した直後に注目した僕は、こっそりとこのシリーズを追っていました。

という謎の「最初から読んでたんだからね」アピール。
今まで感想を書いてこなかったにもかかわらず、アニメ化が決定したからとここぞとばかりに感想を書いてアクセス数を期待する、マジで汚い。
飽食しても1日のPV数100台だから意味ないんだけどね(笑

そんなことよりも、第5巻。
ここに来て「本編開始」感が凄い。
アクセル噴かしてきたなと。あの幼女が。

第4の幼馴染エンドに繋がる気配を強く覚えたのです!!

「3人」の戦い、本格化の兆し

趣としては「第2部開始」という空気を感じました。
4巻で末晴のトラウマにも一つの区切りが着いて、3人の幼馴染が恋のスタートラインに立った感があったので。
3人の幼馴染が策謀を巡らせて好きな人を略奪する戦いが本格的に幕を開けたのかなと。

なんちゅーのかな。
今までも遠慮の欠片も無かったけれど、これまで以上に素手で殴りあってるヒロイン3人が、生き生きしてて、読んでいて楽しい。
やはり僕は、この作品をヒロイン達の本音ガチバトルに軸足を置いて楽しんでいたのだなと改めて感じたのですよね。
というのも、僕、末晴君のことを理解できないから(笑

元国民的大子役。
(こんな言葉無いので違和感が仕事しすぎている。国民的大スターの子役版だと思って流してください。)
人気絶頂期の撮影中にお母さんが亡くなって、演技が出来なくなり、半ば引退。
以降「一般人」として美人4姉妹と一緒に育った少年。
彼は「もてない」という。

どれだけ状況を並べられてもてないのかを説明されても「は?」ってなるんです。
額の青筋をぴくぴくさせながら「解せん」と呟きたくなります。
別に不快感こそ抱いてないんだけれど、感情移入が難しい主人公なんですよね。

故にヒロイン勢に注目しちゃう。
特に黒羽。
この娘は、1巻のインパクトが強すぎた。

末晴を惚れさせてから、公衆の面前で振る。
彼女が企てた恐ろしすぎる復讐計画は、予想外すぎて度肝を抜かれましたものw

2巻以降も策略家としては、白草、真理愛を上回ってるところも良いんですよ。
正幼馴染(正妻的な)の優位性を存分に活かして、末晴の行動の先の先まで読んで、全てを掌の上で転がす圧倒的軍師感。
その癖、1巻で盛大に振ってしまったことで勝手に追い詰められるアホな子なところも魅力的w

末晴のことになると魔王になることを厭わない黒羽を筆頭に、白草も真理愛も全力で狩りに来ている。
なんとなく定番化しつつある「お茶会」での3人の言葉のど突き合いシーンがお気に入り。
今回は初めて3人の誰も策を巡らすことなく(真理愛が小さな打算を企てていましたが)脇に回っていましたが、それだけに3人のお茶会シーンでの会話が面白かったです。
太字フォントの大文字で誇張されると効果的ですね。
一昔前のテキストサイトで慣れている僕としては、好きな演出。

今後も3人で策謀を巡らせながら、恋の駆け引きをしていくのでしょう。
そう思う反面、これは作者の罠なんじゃないかなと。

恵須川橙花は何故登場に至ったのか。

ここに来てサブヒロインが登場しました。

はい。
ここはもう敢えて「サブ」としましょう。
幼馴染では無いですし、彼女自身今回自ら身を引いたわけですから。

ポッと出てきて、唐突に片思いを述懐し、早々に退場を決め込む。
「何のために出てきたの?」と思わなくもない橙花。
言葉が悪いですが、末晴ファンクラブを都合よく動かすため?
それもあるのでしょうけれど、僕は穿った見方をしています。

読者に「末晴争奪レースの出場者が、黒羽、白草、真理愛の3人だけ」だと思い込ませるため。

事実、一歩引いた目線で末晴を取り巻く状況を見ると、幼馴染3人と他の女子では大きな差が目立ちます。
差というのは、末晴自身がどう接しているのかの差ですね。
幼馴染3人への対応と橙花含めたファンクラブ女子への対応はあからさまに異なります。

わざわざ3人に誠意を見せようとして、ファンクラブの解散を申し出るあたり、橙花で無くても「割って入れない」ってなりますよ。

橙花のお陰で、改めて「ヒロインは3人なのだ」という認識を強めることとなりました。
だからこそ、天邪鬼な僕は、「そう思い込ませたかったのかな」と考えちゃう。

黒羽達は、3人だけの戦争に没頭しすぎるあまり、横から掻っ攫われるんじゃないかな。
それこそ読者ともども意表を突かれて。

土俵にも上げてもらえない最強の負けヒロイン

「負けヒロインが勝つ」という本作の裏テーマ。
第1巻において、その役割は完全に黒羽が担っていました。
だからこそ、彼女は3人の中でもメインの風格があるのですが、今や彼女は白草や真理愛と同格に落ち着いています。
際立った策謀家の力で、最後尾からいっきにまくり上げてきました。
最早「負けヒロイン」感は無いのです。

そこをいくと、どこまでも恋愛勝負の土俵に上げてもらえない子も居るのです。
しかも年齢という、どうしようも出来ない理由からそもそも除外されてしまっている可哀そうな女の子。

志田朱音。
志田4姉妹の末っ子。
中学一年生。
黒羽の妹。

基本的に4姉妹は、皆末晴が好きだ。
それと同じくらい、妹達は長女の黒羽が好きだ。
だから、次女の碧と三女・蒼衣は、自分の想いに蓋をしている。
特に蒼衣は、3巻でその気持ちの一端がせきららに描写されているから、読んでいて結構辛かった。
彼女達は、黒羽の妹、末晴にとっても「妹のような存在」故に、土俵にすら上がる権利を剝奪されてしまっている「負けヒロイン」なのだ。

勿論、最近になって恋心を自覚してしまった朱音も同じなのだけれど、ちょっとだけ違う。
彼女は、恐らく黒羽に遠慮はしない。
少し表現が違うか。
遠慮はしないというより、目に入れないとした方が的確か。
「末晴を射止める」という結論を設定したらば、「長女の気持ちと向き合う過程」をすっ飛ばしてしまうのだろう。
だって、そりゃそうだ。
好きな人を射止める為に、恋敵1人1人と向き合う必要性は本来は無いのだから。

末晴が考える「朱音という少女の本質」が正しいのであれば、朱音は最強のヒロインに躍り出る可能性が高い気がします。
裏テーマにも符合する朱音エンド。
その種まきが着実にされているのではないかなと感じた5巻でした。

終わりに

男にキスできる丸くん。
ロリコンの誹りなんて意に介さず、中学生を手に掛ける日が来る…のかな?

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