「スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル」感想

この記事は

「スパイ教室 短編集」第1巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

毎日のように「ラノベの杜」さんで新刊チェックをしているのに、たまたま立ち寄ったメロンブックスで発売されていたことを知ると言う間抜けっぷり。
慌てて時間を作って読了しました。
1つ予定をキャンセルしたけれど、仕方ないね。
それほど好きなシリーズだからね。

「ドラゴンマガジン」に連載中の短編に加筆修正を加え、さらに1つの大きな物語になるように書下ろしを加えたシリーズ初の日常編。
いつものようなどんでん返しアリの濃密なドラマとはまた違った魅力がありました。

感想です。

ジビア編

リリィとジビアの関係性って面白いよね。
天然のボケと全力のツッコミがかっちりと嚙み合って上方漫才めいていて。
親交が深いからこその関係性が微笑ましい。
シリーズの魅力の1つであるコメディ成分が増量されていて、大いに笑わせてもらいました。

導入としても完璧だよね。
クラウスと少女たちの関係性を端的に表現しているし、両者間に横たわる圧倒的な彼我の差(つまりクラウスの飛びぬけた実力)も見て取れる。
戦争による負の部分の描写も分かりやすいし、それを無くそうと奮闘するジビアの目的は「第1話の主人公」として相応しいですしね。

サラ編

サラ、好きなんですよね。
彼女が主役のエピソードなので、単純に嬉しかった。

建物が普段の訓練でボロボロになったから、皆で直そうというのは、自然な流れだよね。
ただ、それだけだと中々物語にならないので、モニカに「そんな無駄な事で時間を使いたくない」と言わせ、サラの性格から勝負に繋げる流れは見事としか。

それにしてもクラウスの化け物じみた能力あっての物語構成には笑ったw
誰よりも冷静で、一歩引いた視点で見てるモニカすら食欲に負けて勝負に本気になってるのも笑いのポイントかなw

モニカ編

今回一番シリアスだったエピソード。
モニカの背景が明かされましたが、なるほどですね。
ジビア編で、ジビアが自分達とクラウスの彼我の差に絶望しかけたことが描かれてましたけれど、モニカは誰よりも早く一流との差を見せつけられ、諦めちゃっていたのですね。
早熟の天才ならではのドラマだなぁ。

今回一番良かったのは、彼女もまた仲間への想いを心の奥底に抱いていたことが分かったこと。
自分が諦めてしまったからこそ、どんな時もめげない「自分より弱い仲間」に強さを見出し、一種の敬意を持ってたんだろうね。

グレーテ編

クラウス唯一の弱点である「人にものを教えるのが致命的に下手糞」な点ですけれど、これグレーテならばなんとかなるんじゃないの?
試行錯誤はしたのでしょうけれど、結果的にはレシピを基にして見事ミートパイを作り上げたのだから。

グレーテに関しては、本編の方で既にメイン回があるので深く掘り下げるという形では無かったかな。
強いて言えば、彼女の愛情の深さを改めて見せてくれた回。
あと、エレナの不幸が本物だと弥が上にも思い知らされたエピソードw
ミートパイ完成までにエレナの頬っぺたは何度つねられたんでしょうねwww
流れ弾にも程があるわw

花嫁ロワイヤル

笑ったw
ほぼ全話で笑いを提供してきたリリィが、本領を発揮。
調子に乗ってからの裏切りから自爆まで、まさに独り相撲w
メインヒロインの面目躍如の活躍でした。
なにしても憎めないっていうのは、リリィの魅力ですね。

ドタバタ劇をしつつも、1人1人にしっかりと見せ場を用意してるのが素晴らしかった。
こう書くとモニカは出オチだったじゃないかと言えそうですが、7人全員から圧倒的な実力を認められているという点で、モニカのキャラが立ってる証左なんですよね。

クラウスの優しさとそれに対するリリィの回答というオチまで含めて、1冊読んだ上での納得感が凄まじい。
これだけ楽しい物語を紡げている時点で、何一つ犠牲にしてないと分かりますからね。

終わりに

ひたすらに楽しい1冊でした。
ともすれば殺伐とした世界観になりがちなスパイもので、ここまで笑える物語を自然と作れるのは、作品の持つ懐の深さもさることながら、キャラの魅力と素晴らしい関係性あってのこと。
コメディパートの楽しさを存分に堪能できた最高な短編集でした。

最新情報をチェックしよう!