「ふたりソロキャンプ」の楽しさを志摩リンで語る

この記事は

「ふたりソロキャンプ」の感想です。
ネタバレあります。

キャンプへの密かな憧れ

最近キャンプへの密かな憧れがあります。
切っ掛けは勿論、「ゆるキャン△」であります。
オタク界隈で盛り上がってた時期とは少し外して、放送が終わって大分経ってからアニメを視聴して嵌り、今少しずつ原作を読み進めているところです。

うつ病を患ってからというもの、ラノベをまったりと読む時間がとっても大事になっていて、だけれど、その環境づくりに物凄く苦労してるのです。
専らお気に入りのカフェ(サンマルクカフェのとある支店が特に好き)に入り浸ってるのですが、音の問題が無きにしも非ず。
早朝だと良い感じに店内BGMでまったり出来るのですが、混雑時にはガヤガヤと周りの音が気になってくるんですよね。

集中力も欠けるし、気分的にもちょっとげんなり。
公共の場なので文句は言えないし、言うつもりも全く無いのですが、可能であれば静寂の中でゆっくりまったりと本の世界に没頭したい。

そしたらどうだい。
リンの気持ちに共感を覚えちゃったのです。
1人で青空の下できままに読書をする。
なんて贅沢なんでしょう。

しかも彼女は冬を好んで選んでいるじゃないですか。
キャンプのオンシーズンは春から夏。
秋も多少賑わいは落ちるかもですが、まだまだ盛況な季節。
唯一冬場だけは閑散としていて、やっていないところもある程。
そんな時期に敢えてリンは、ソロでキャンプに出掛けるんです。

どこまでも「自分だけの時間・空間」に拘る姿勢は、尊敬すら覚えます。
僕も大空を背景に、鳥のさえずりや川のせせらぎをBGMに読書をしたいなぁ。
いつかしてみたいな、キャンプ。

だがしかし、僕は生粋の都会っ子。
冷暖房完備の快適環境を「他人に用意してもらわないと」生きていけないもやし野郎。
アウトドア技術も無いし、きっと出来もしない。
お布団と枕が無いと眠ることもままならない。
間違いなく「したいなぁ」で終わります。

それでも気持ちだけは持ち合わせていて、そんな時に出会ったのが今作です。
「金田一37歳の事件簿」の関係でちょくちょく「イブニング」をチェックしていて、ほぼほぼ同時期に連載がスタートしたと記憶しています。
確か予告や第1話掲載時の「イブニング」表紙ではタイトルが違ってたんですよ。
後から変更したという訳ではなく、意図的に変えていた。
最終ページまで読んで「実は本当はこういうタイトルなんです」とネタばらしをするという趣向でした。
その仕掛けにまんまと嵌っちゃったんですよね。

かなり絵が上手い作家さんだなというのが第一印象。
キャンプがテーマだし、そこら辺は刺さるものがあるなと。
でも、ムサいオッサンがソロキャンプするだけの漫画には強く惹かれなかったんです。

僕は「立ち読み」は基本しません。
いや、ちょっと違うか。
店頭で雑誌を手に取って、中身は開きます。
ただ、読み込まないで、パラパラと捲っていくだけなんですよね。

そんな感じで1話を雑誌で見てたら、ちょいちょい可愛い女の子が目に入るんです。
「おっ」と。
好みな外見の女の子。
ちょっとだけ惹かれます。

またパラパラと捲っていって、捲りながらも「この子がメインだったらな」と思ってたところで最終ページに辿り着いて。
そこに大きく「ふたりソロキャンプ」と真のタイトルがどーん。
簡単に落ちました(笑
チェックしておこうと固く誓った瞬間でした。

とまぁ、それから随分と時間が経過したわけですが、この度ようやく1巻を購入しました。
前置きが長くなりましたが、感想です。

ヒロインがうざ可愛い

コミックスで改めてしっかりと読んでみて、やっと気づいたのですが、作者の出端先生、ふなつ一輝先生の元アシさんだったんですね!!!
(ギャグ時の崩し顔とか、書き文字で気づきました。)
ふなつ先生と言えば、現代日本漫画界に置いて指折りの「美少女を描く漫画家」先生です。(僕基準)
そりゃ可愛い女の子を描ける訳ですね。

いや、んなことないか。
全員が必ずしもそうとは言えないですが、しかし、出端先生はしっかりと師匠の長所を受け継いでいらっしゃいます。
まだ描き慣れてないからか、コマによって多少ブレはありますが、どの雫も可愛いですね。
ということで(どういうこと?)、とっておきの1コマを。

元気娘良いです。
最近のトレンドである「うざかわ妹系」なのも良し。
このコマ直前のやり取りも大概ですからね。
雫(画像のヒロインの名前です。)は、殆ど脅迫なやり方で厳(主人公の名前です)に強引に関係を迫るんです。
関係=自分にキャンプのやり方を伝授しろ
ってことね。やらしい意味は無いです。

山梨県に住むとあるソロキャンプーであるところの志摩リンさんよりも強い意志でソロキャンプに拘りを持つ厳ですが、超強引に「2人でいっしょにソロキャンプしましょう」と誘うんですよ。
ほら、可愛いでしょ?

……ドMじゃないからって反論が聞こえてくるようですが、可愛いです。
そこは本編で確かめて頂きたいです。

志摩リンを基にして今作のメイン2人を紹介する

度々引き合いに出して申し訳ないのですが、志摩リンを基にして今作のメイン2人を紹介してみます。
簡単に言えば、リンを分割すると、それぞれが厳と雫になるのかなと思っています。

リンってかなりのベテランキャンパーじゃないですか。
1人でせっせとテントも張れるし、焚火も出来る。
お爺さんゆずりの知識と豊富な経験に裏打ちされた彼女のキャンプは、ベテランのそれです。
まさに孤独を楽しめる女の子です。

強いて弱点と言えるのが料理でしょうか。
割と簡単な物しか作らず、最初(第1話)のキャンプ飯はカレーヌードルでした。
とはいえ、別に出来ないという訳では無くて、なでしこに感化されてからは段々拘り始めてました。

さて、厳は屈強なおじさんで、文字通りベテランキャンパーです。
誰よりもソロを愛し、誰よりもキャンプを楽しんでいる。
徒歩で現地まで行くというハンディキャップまでも楽しみに変えて、道具にまでとことん拘るタイプ。
リンのソロキャンパーの部分を更に肥大化させたようなキャラです。
その分料理方面の影がググっと弱まって、彼はただ焼くだけしかしません。
凝った料理に憧れはあっても、自分から手を出すようなことはしないんですよね。
(あくまでも1巻時点でのお話ですが)

雫は、逆に料理部分を肥大化させたキャラ。
元々料理好きという事もあって、キャンプでも拘りの料理の数々を披露しています。
レシピ本には頼らずに、オリジナルでキャンプ飯を作っちゃいます。
彼女の作る料理は、どれもこれも非情に美味そうです。
反面キャンプ面は、完全なる素人さん。
想いこそ強く持ってるけれど、知識も技術もソロでやっていくことは不可能なレベル。

性格という部分では、リンと今作の2人は似ても似つかないのですけれど、リンが持ち合わせているアイデンティティをそれぞれに分割。
1人立ち出来るように強く強く育て上げて作られているように見受けました。

で、それがこの漫画のオリジナリティになってるんですよね。
「ゆるキャン△」とは異なる読み味を演出してるんです。

「ふたりソロキャンプ」の読み味

「ゆるキャン△」は、キャンプの楽しさを伝えてくれる漫画です。
しかも、万人が楽しめるような作りになっています。

ソロキャンプが好きなリンを通して、1人でのキャンプの楽しみ方を学べます。
なでしこ達「野クル」の活動を通じて、皆でわいわいキャンプの良さも知ることが出来ます。
キャンプの知識や技術についてもしっかりと書かれているし、キャンプは積極的にやらない子(恵那)の目線も入れ込んでいる。
決して他者の楽しみ方を否定させず、それぞれ尊重しあうことで、「どんな形でも良いんだよ」とやんわりと教えてくれます。
ソロでやりたくなったらソロで。大勢で楽しみたければ、友達を誘って。
楽しそうだけれど見てるだけで良いかなって方もOK。
そんなスタンスで描かれていると思っているんです。

今作はどうでしょう。
1巻しか読んでない僕が断言することは間違っているのでしょうけれど、1巻読んだ限りでは「キャンプの教科書」を楽しく読ませてくれそうです。
タイトルでググると、このフレーズが目についたのですが、まさにその通りだなと感じたのですよ。

前述の通り、リンを分割したメイン2人はキャンプの「玄人と素人」。
人付き合いを拒む厳と人見知りしない雫が時に反目しながらも、「キャンプとは」を通して絆を深めていく。
「雫はソロキャンを出来るようになるまで」を(仮の)ゴールにしているので、物語としては必然キャンプの細かいやり方を描くことになります。
1巻でも早速テントを張るまでの準備について触れられていました。
風通りが弱いとこを選べとか、慣れた人には当たり前のことなのでしょうけれど、僕にしてみたら目から鱗。
「考えれば分かる当たり前な事」もちゃんと触れてくれている点は「教科書」と呼ぶに相応しいかと思います。
実在するキャンプ場と道具に徹底的に拘っているそうなので、この漫画をガチの入門書とすることは実際可能なんじゃないかな。

また、漫画の物語としての楽しさも決して疎かにはされてないとも思います。
先程は「雫はソロキャンを出来るようになるまで」を敢えて仮のゴールだと書きました。
雫がソロキャンを出来るようになるまでは、彼女自身が目標に掲げているので、それは間違いなく描かれるはずです。
ただ、作品自体の目的地がそこかというと、僕は疑問です。
厳が強く拘るソロへの動機。
亡くなったと思しき彼の父親が遠因なのか。
はたまた、トレードマーク的に左目横にある明らかに後天的な痣のようなものが関係しているのか。
彼の心の傷(勝手に決めつけてるけど)を雫がどう解きほぐしていくのか。
その辺りも見どころになっていくのではないかと予想しています。
人間ドラマとしても読みごたえがありそうです。

「華麗なる食卓」なみにしっかりと雫の料理レシピも付いていますので、気になった料理の再現をしてみても良いかもしれませんね。
なんにせよ色々な楽しみ方を出来そうな漫画です。

終わりに

いや~、楽しい1巻でした。
これは迷うことなく続刊購入決定です。
これからも楽しんでいきます。

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