「安逹としまむら」は”しまむら”というキャンバスが”安逹色”に染まる物語

この記事は

「安逹としまむら」感想です。
ネタバレあります。

はじめに

ネタでもなんでもなくて真剣に「安逹さんがファッションセンターのしまむらに買い物に行くラノベ」だと信じてました。
ほら、「女騎士さん、ジャスコ行こうよ」ってラノベがあったじゃないですか。
あんな感じで、リアル企業とのコラボなのかなと。

全然違うんですね。
作中でネタにはしてますが、洋服店との関連性はゼロ。
女の子同士の関係を描いた日常系ラノベだったのですね。

この度、アニメになるということで興味を持ったので読んでみました。
2巻までの感想です。

クールしまむらとアクティブ安逹

しまむらさんってフルネームだと「頑張ります」ってしょっちゅう言ってそうな名前なのですね。
発表時期的には卯月の方が先なので、恐らくインスパイアなのかな。
特別卯月を想起させるような描写は無いので、モチーフとまでは言わないですけれど、特性は継承させたのかもなと思いました。

島村卯月達「アイマス」シリーズのメインヒロインって一様に「普通」特性を持っています。
悪く言えば、没個性。
良く言えば、誰にでも好かれる。
王道的な主人公属性を持っていて、偏ったイメージを持たれないようになっています。

今作の島村抱月(以下作中同様「しまむら」で統一します。)は、そんな「普通」をさらに煮詰めたようなキャラクター。
安逹から自分の事を特段語らないと言われているように、また、自認しているように、物事に対して関心が無いというか執着しない子。
一応物事について考えはするんだけれど、考えるだけ。
およそ人の感情の機微に興味関心が無いのでしょうね。
「もしかして」という想いには至るのだけれど、その先のことは有耶無耶にするか勝手に答えを出して1人納得して、フラットな対応に終始しちゃう。
熱が無いんだよね。
喜怒哀楽、感情を出さないと言う方が適切なのかもしれない。
ともかく、第一印象では安逹の方がクール系に見えてましたが、しまむらこそ真の意味でのクールキャラなのかもなと。

それに対して、安逹は随分と感情豊かな子ですね。
母親からは「何を考えているか分からない」と評されていますし、日野らからも似たように見られているのでしょう。
実際口数も少ないし、表情の変化も乏しいと描かれています。
けれど、それは「その程度」の感情しか動いてないからとも言えて。

しまむらのことを特別に想ってからの彼女は、随分と大胆になってますよね。
自分から手を握りにいったり、しまむらの足の間に座ったり。
顔を真っ赤にするのなんてしょっちゅう。
大きく心が揺さぶられると、分かりやすく言動や表情に出る子です。

2巻まで読んだ印象では、「安逹の積極的なアプローチにしまむらがフラットに付き合っていく物語」というものでした。
であるならば、しまむらが「普通」なのも頷けるんですよね。

“しまむら”というキャンバスが”安逹色”に染まる

しまむらって決して鈍感キャラじゃないんですよね。
ちゃんと安逹の行動の意図には気づいてる。
若しかして、好かれてるんじゃないかと。
けど、女の子同士だからとか、考えるのが面倒とか、そもそも深く考えずに流している。
安逹がどういう子なのか積極的に知ろうとして、彼女の気持ちに寄り添えば答えに近づけるのですが、そういった行動には一切移さないんですよね。
まさに無関心。

そんな彼女は、どこまでも真っ白なキャンバスに思えるんです。
何色にも染まってない、染まろうとしない。
そういう女の子。

そんなしまむらを安逹は自分の色で染めていくのです。
それをニマニマと楽しむラノベだというのが僕の感想。

早速2巻収録の「しまむら ジムへ行く」で染まっている様子が窺えます。
安逹が冒頭にしか出てこなくて、面喰ってしまいましたが最後まで読んで納得。
ちょっと変化球を投げられたので戸惑いましたが、メッチャ重要エピソードじゃないですか。

ジムで安逹母に出会って、今の安逹に関心が無さげな安逹母の会話を聞いて、しまむらがムキになっちゃうって話。
あのしまむらが、他人の事でムキになっちゃうんですよ。
初対面で、相手は自分と娘の関係を知らない。
「見ず知らずの大人」相手に言いたいことを言って、勝負まで仕掛けちゃう。
勝負は成り行きって感じだけれど、かなり大胆な行動に出てます。

読者視点からすると、「らしくないな」と思えちゃう行動でした。
しまむらの人となりを殆ど知らないのに、「らしくない」という感想を持つのはおかしいのかもですけれど。
ただ、少なくとも僕には、彼女に似つかわしくない行動に映ったのです。

もう既に安逹色に染まり始めてる気配を覚えましたね。
これから徐々に染まっていって、気づいたらずぶずぶの関係に…。うふふ。
楽しみだ。

終わりに

入間人間先生の作品って初めて読みました。
1巻の口絵で小っちゃな宇宙人が描かれているのを見て、「すわ電波女か!?」と色めいて速攻で調べちゃいました。
(アニメは見てた。)
スターシステム?
同一世界観?
どっちか分かりませんけれど、繋がりはあるんですね。

安逹もしもむらも、他のキャラもどちらかというと現実に即した「どこかに居そうなキャラ」なので、違和感が半端ない(笑
出る作品完全に間違えちゃってますが、なかなかどうして安逹としまむらの関係性を(無意識に)かき回しそうなトリッキーさが良い味出してますね。

果たして安逹はやしろに勝てるのでしょうか。
最終的にしまむらがやしろ色に染まっちゃったらこの記事消さねばですが、果たして(笑
3巻以降も読み進めていきます。それでは。

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