「鬼滅の刃」の「無限城編」は本当に最終決戦なのだろうか?

この記事は

「鬼滅の刃」の感想になります。
ネタバレあります。

原作コミックスが爆売れしてる

今月4日に発売されたばかりの最新17巻、公式ファンブック、ノベライズ第2弾。
とあるアニメイトで3冊とも売切れてました。
どれだけ入荷していたのかは不明ですけれど、僅か2日半で売り切ってしまうとは…。
恐ろしい子。
アニメ効果がここまで出てるのを体感したのは久々です。

今が売れ時!!!
そんな時ですが、しかし、「少年ジャンプ」連載では、クライマックスかという様相を呈しています。
第140話から全柱+αが無限城に落とされ、上弦との死闘を繰り広げています。

本当にこのまま無限城編が最終決戦となるのでしょうか。

ここまでを振り返る(ネタバレ注意)

無限城での激闘を簡単にですが、振り返ってみます。

しのぶ、身命に賭す

蟲柱・胡蝶しのぶVS上弦の弐・童磨。
カナエの仇である童磨に対して、怒りの炎を燃やすしのぶは、しかし、毒も剣技も通用せずに、遂には致命傷を負わされ、体ごと吸収されてしまいました。

しのぶの死は大変にショックでしたね。
吸収された後も、いやいや生きてるんでしょ、生きててくれよ、生き返ってぇぇぇと心の中で叫んでました。
仲間と言えど死んでしまうというのがこの漫画の長所ではあるのですけれど、それにしても中々受け入れられない事実でした。

しかしながら、この仇をカナヲが取ってくれたのが嬉しかった。
少し前までは感情を出さなかった少女が、怒り、悲しみ、仲間を頼る。
伊之助の力を借りながらも、童磨を討ったのはカタルシスがありました。
それに、しのぶの死を賭した毒が童磨に刺さったのも良かったよね。
珠世の力を借りたとはいえ、最期の執念が怨敵を死に至らしめる一因になったのですから。
笑いながら姉と再会できたしのぶ、辛いけれど、救われる想いがしました。

善逸の成長

元兄弟子・獪岳が鬼となった。
その責任を取って、爺ちゃんが自決をした。
この決戦の直前訃報を受け取った善逸の中で、覚悟が決まったのでしょう。
絶対に自分で斃さなければならない相手。

無限城の中で再会した獪岳は、上弦の陸となっていました。
自分が扱えない雷の呼吸の技を使う獪岳に、しかし、怯まずに挑む善逸。
自ら編み出した「雷の呼吸・漆ノ型」で見事に元兄弟子を屠りました。

やっぱり少年漫画の醍醐味は、キャラクターの成長です。
多くのキャラが成長を魅せてくれる中でも、僕は善逸が好きなのです。
そんな彼が上弦を1人で斃せるほど強くなったことよりも、恐怖や緊張で気絶・半覚醒状態でしか戦えなかった状態を克服できたことの方が嬉しかった。

しっかりと相手を見据え、1人の剣士として向き合う。
格好良すぎました。

猗窩座の見せた鬼としての進化

上弦の参・猗窩座。
炭治郎と水柱・冨岡義勇が激突。
煉獄の仇討ち戦となったこの戦いは、2対1という有利な局面をものに出来ず、 猗窩座に押される展開に。
しかし、炭治郎が土壇場で「透き通る世界」に開眼。
ヒノカミ神楽で頸を一閃しました。

これで決着!!というのが今までの戦い。
猗窩座は頸を絶たれながらも、戦闘を続けるという今までに見たことのない異様な状態を見せました。

この決戦に入る直前、鬼舞辻が見せたように、鬼は進化すると頸を絶たれても滅びないようです。
猗窩座もまた、1つ上の領域に踏み込んだのかと思いきや、果てなく塵となって消えました。
再生しかけた頸。
もしあのまま完全に再生していたら、炭治郎達は全滅していたことでしょう。

黒死牟は何故滅びたのか

上弦の壱・黒死牟は次元の違う強さでした。
最強の名に恥じぬこの鬼は、血鬼術はもとより、元鬼殺隊の剣士として「月の呼吸」を操るという規格外の戦術を採ってきます。
これに挑むは、霞柱・時透無一郎、風柱・不死川実弥、岩柱・悲鳴嶼行冥。
更には、玄弥も参戦し、4対1という状況。
鬼殺隊最強という悲鳴嶼を含め、柱が3人。
最高戦力といっても良い程の力を注いで、それでも尚、黒死牟に押されてました。

最終的には黒死牟の頸を落とせたものの、無一郎は殉死し、玄弥も真っ二つにされ虫の息。
生き残った2人も重傷を負わされました。

無一郎の死は非常に残念なのですけれど、ここで語るべきは黒死牟の「進化」です。
奴もまた猗窩座同様に滅びず、なんと頸まで再生させてのけました。
直後に崩壊したものの、やはりこのまま完全再生していたら、鬼殺隊に勝ち目はありませんでしたね。

では何故黒死牟は死んだのか。
身体が頸の再生という鬼を超えた状況についていかなかったのか?
否、ですよね。
奴が死んだのは、心が折れたからでした。

「体を再生させるという意思」よりも「鬼として生きることに心が反した」ことが直接の死因となりました。
猗窩座も同様ですが、心が鬼であることに疑問を持つと、体の再生よりも滅びることが優先されるようです。

炭治郎の優しさが鬼の真の弱点

そうなってくると、炭治郎の優しさが鬼にとっての本当の意味での弱点になるのかもしれません。
炭治郎はなによりも優しい少年です。
人食い鬼であってもかつて人間であったことを忘れたりしません。
鬼に寄り添い、同情することが出来る稀有な心を持っています。

振り返れば、これまでも炭治郎の優しさに救われて逝った鬼は多くいました。
累はそのいい例ではないでしょうか。
炭治郎の温かい手に涙を流して、彼は両親のもとに帰れたのです。

頸をもがれること、日光に浴びること。
これらは鬼の弱点ですが、もしもこれらを克服する鬼が出たならば、炭治郎の優しさが、そんな鬼を滅することが出来るのでしょう。

鬼舞辻無惨は無敵になる

さて、鬼舞辻は既に頸を落としても死なないことが描かれました。
なんなく再生をし、あとは日光さえ克服すれば無敵になります。
その為に禰豆子を食おうとしています。

物語の道理として、この鬼舞辻の野望は果たされるのでしょう。
流石に禰豆子が喰われてしまうようなことは無いと信じたいですけれど 、奴は無敵になるはずです。

弱点の無くなった鬼舞辻は、珠世の人間に戻る薬をも克服するでしょう。
手の付けられなくなった化け物相手に、成すすべなくなった鬼殺隊。
柱を何人も失い、お館様もいなくなり。
怨敵は無敵となってしまった。

この絶望的なシチュエーションを作ることこそが、「無限城編」の狙いなのではないでしょうか。

炭治郎が鬼舞辻無惨に真に向き合う

こうなると、先に書いたように炭治郎の優しさが鬼舞辻を滅ぼすカギになるのでしょう。
しかしそれには、時間と情報が必要です。

なんたって鬼舞辻の過去はどうしようもないものでしたから。
鬼の人間時代には、同情できるケースと情状酌量の余地のないケースの2つがあります。
上弦で言えば、猗窩座が前者、黒死牟が後者かな。
個人的な感覚ですけれども。
鬼舞辻はというと、圧倒的に後者なんですよ。

炭治郎と言えど、無理なんじゃないかと思えるほど、鬼舞辻の過去には1ミリも心動かされませんでした。
根っからの悪。純粋悪。
そんな存在を説き伏せるには、時間と情報が必要ですよね。

恐らく過酷なものになるはずです。
家族を殺された恨み。
死んでいった仲間たちの無念。
鬼にされた最愛の妹を想えば、到底許せない存在。
しかし、それら私情を排して、鬼舞辻に寄り添うことこそが奴を斃すには必要。
となれば、それをやり遂げた際には、相応のカタルシスがあるはずです。

最終決戦に相応しいラストシーンになるんじゃないでしょうか。
僕はそう思うのです。

終わりに

「無限城編」は、最終決戦に向けての追い込み。
無敵になった鬼舞辻は、これ以上鬼を生み出す理由が無いので、今後新しい上弦との戦いというのは考えられません。
残りは鬼舞辻だけとして間違いない。

そんなラスボスを斃すために、炭治郎は鬼舞辻の過去を巡る旅に出るんではないでしょうか。
そうそう長くなるとは思えませんが、そういった1エピソードを挟んで、いよいよ最後の戦いに臨むのかなと。

結論は、もう少し連載は続きそうですね。

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