紛うことなきジャンプの次期エースの逸材 「ぼくたちは勉強ができない」が面白い

この記事は

久々に「週刊少年ジャンプ」の記事です。
第1話がここまで面白い漫画は久々。

ジャンプが新連載6連弾を放ってきた

中堅から主力となっていた連載陣がここ1,2年で大量に終わりを迎え、転換期を迎えている「週刊少年ジャンプ」。
次期エース・次期主力の連載が急務であるこの場で大きな仕掛けを放ってきました。

6本もの新連載を投入。
6連続というのは驚きの数です。
基本2~3、多くて4本という中6本は異常な数です。

遡ってみますと、1981年に6連弾をやってますね。
全て1年未満(うち4本は短期打ち切り)と成績は芳しくなかったようです。
黎明期を除けば、7連弾が1回、6連弾は今回で4回目。
「ジャンプ」50年の歴史の中でも、かなり珍しい挑戦と言えるでしょう。

さて、近年では98年に5連弾をやっており、それ以来の大型入れ替えとなります。
その時のラインナップがこちら。

  1. 「ROOKIES」森田まさのり
  2. 「少年探偵Q」しんがぎん(漫画)円陣(原作)
  3. 「河童レボリューション」義山亭石鳥
  4. 「ホイッスル!」樋口大輔
  5. 「HUNTER×HUNTER」冨樫義博

ベテランと新人をバランスよく配しており、力の入れようが見て取れます。
5本中3本が長期連載になっており「成果」も出ています。

大型連載は「ジャンプ」の本気の証と言えるのかもしれません。

始まりがあれば終わりもある

6本もINするのですから、ほぼほぼ同じだけOUTしていきます。
「ワールドトリガー」が休載中なので、5本のOUTで済みそうですが、果たしてどの作品が選ばれるのか。

先ずは、つい最近の新連載組。
「歪のアマルガム」、「デモンズプラン」、「オレゴラッソ」は確定と見て良さそうです。

中堅からは「背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~」が終了。
最後に大増ページを貰っていたり、エピローグの掲載順が悪くは無いところをみるに、予定通りなのでしょうか?
面白かったけれど、やや物足りなさを感じていた最近の展開を鑑みるに打ち切りだったのかなとも見ていますが、どうなのでしょうね。

で、もう1本が分からない。
大穴としては「火ノ丸相撲」でしょうかね。
今回の一番は、最後に相応しいとも思えるような力の入れようだったし、クライマックスとしても通じるノリがありました。
完全燃焼として、最終回を迎えたとしても不思議には思えません。

何れにせよ、「最近の新連載組」だけがスッパリと切られる訳では無さそうで、ここら辺からも「改革」に本腰である様が見て取れます。

「ぼくたちは勉強ができない」が面白い

大事であろう6連弾の先頭を任されたのが、まさかのラブコメです。
「ジャンプ」王道のバトル漫画ではなく、中堅以上には成り難い印象の強いラブコメで来るところに、「改革」の旗印を見ているのは僕だけかな。

編集部の期待を一身に浴びているであろう新連載「ぼくたちは勉強ができない」。
これが素晴らしいスタートダッシュをしてくれました。
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例えばこれが「ニセコイ」「I”s」「いちご100%」系のよくあるダブルヒロインラブコメであったのなら、「またか」と思った事でしょう。
しかし、この漫画独自の方向性をきっちりと入れ込み、主人公とヒロインの「付き合い」に大きな説得力を持たせたところが面白かったですね。

主人公・唯我君の描き方がなによりも上手過ぎでした。
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最初の1コマ目から頭のいい奴なんだなと思わせておいて、理系でも文系でもダブルヒロインに勝てない「秀才止まり」として一度落としている。

決して彼が勉強ができない訳ではない。
秀才なんです。勉強は出来る。
しかし、それでも天才には敵わない様を見せる事で、ダブルヒロインの天才性を浮き彫りにしています。
キャラ紹介とメイン3人の立ち位置をたったの8ページで描き切っている。

冒頭8ページでヒロイン2人がどれほど天才なのか説明しきっているのです。

その上で、主人公をゆっくりと描き始める。
面倒見が良い。
家が貧乏で、必死に勉強する理由がある。
努力をして今の学力を身に付けた事…実は「べんきょうができない」事までをさらっと描写している。

唯我君がどれほど本気でVIP推薦が欲しいのか説得力を持たせたうえで、ラブコメらしい展開を突っ込んでくる。
VIP推薦の条件として「ダブルヒロインの教育係」を任されるというニヤニヤ展開。
何故!?って僕も思いましたもの。

天才2人の教育係ってどうゆうことって。
そしたら、理系の天才の緒方さんは文系大学を志望。
文系の天才・古橋さんは理系大学を志望。

それでも天才なんだから楽勝じゃんと思いきや、ダブルヒロインは自分の得意分野以外は絶望的な学力であったと。
このどんでん返しは予想外でした。

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ただの天才というだけではなく、ダメダメな一面を併せ持っていたダブルヒロイン。
あ、やべえ、かわいい
と思うには十分な破壊力がありました。
(特に緒方さんね。僕がメガネ娘可愛いと感じるのは奇蹟ですよ)

冒頭で築き上げた立ち位置を見事に逆転させてみせた終盤の展開。
唯我がそれでも付き合う理由も、「それでもVIP推薦が欲しいから」というだけではないのも良い。
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ここ、1話の中でのベストシーンですね。
唯我君の行動原理。

3人の関係性を構築する上で、とても大切なピースとして機能している。

1話でメイン3人を綺麗に説明しつつ、何故ダブルヒロインは出来ない苦手科目で進学を希望しているのかという謎も残している。
勉強を通して、恋愛が発展するだろう布石もしっかりと置いてある。

もう高校3年生。
残された時間は1年間。

短くも濃くて新鮮なラブコメが展開しそうでワクワクしかありません。

太く短く

太く短くジャンプの主力の一端を担う。
そういう作品になってくれるんじゃないかと期待しています。

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