この記事は
「涼宮ハルヒの直観」の感想です。
ネタバレあります。
はじめに
9年半振りの最新刊。
「ザ・スニーカーLEGEND」発売時の感想で、新刊を待つと書きましたが、実のところ新刊は二度と出ないものと思っておりました。
未完のまま完結扱いとなり、新刊は夢のまた夢かと。
だからこそ一報の際には喜びよりも驚きが先にありました。
待ってたけれど、待っていなかったという矛盾した中で発売された新刊。
発売日に買えたのに、5日経ってやっと読み終えました。
書下ろし長編「鶴屋さんの挑戦」の感想を書きます。
感想
ミステリ研所属の交換留学生Tは、一般人でした。
「一般人の訳が無い!」(キリッ)と「七不思議オーバータイム」の感想で書きましたが、普通に一般人なのですね。
ただまぁ、ハルヒが気に入った理由も書いてあって、それに納得できたので、まだまだ僕の読みは浅いなとつくづく嫌になりました。
さて、短編集だという触れ込みを信じていたので、まさかの長編で呆気にとられました。
中身としては、ハルヒの世界改変が関係してこないという意味では短編・番外の毛色が濃かったですが、「ハルヒ」らしさは十分に感じられましたね。
古泉が懸念していた「無意識の増長」とかキョンの考察である「位置観測機器の破壊」とか。
本筋と関係があるようで関係のないギミックを仕込んでくるあたりは、従来の「ハルヒ」らしさかな。
物語が進むと、実はこれらが伏線でいたということもあるので、本筋と関係が無いと一顧だにしないことは出来ないんですけれどね。
それはそうと、今作をミステリ作品として読んだ時のミステリファンの感想を知りたいところ。
近年は年に1作くらいしかミステリ小説を読まない「薄っぺらい」ミステリファンの僕からしたら、十二分に面白いミステリだったのですが。
「読者非参加型」、つまりは、小説の記述のみで読者が真相に到達できる訳ではない点を重く捉えれば、そもそもミステリでないとなるのかもですし。
個人的な考えとしては、このあたりのミステリとしての不完全性にしっかりと言及し、「練りこめてない不完成品」とキャラクターたちが認めていることと、推理ではなく直観であると探偵役(ハルヒ)自らが断言してる点を考慮して、ミステリと言えるとしました。
なにより二重三重の真相と、さらにその先にある「真犯人」暴きという構図が、ギミックとして非常に凝っていて、それだけで嬉しくなりました。
そもそもがミステリ小説では無いですしね。
ミステリ趣向がこれでもかと施された一品として、ミステリ読み達に読んでいただきたい長編でした。
終わりに
非常に短い、感想と呼べないような文章になりましたが、これで終わります。
この勢いのまま完結までいっきにひた走っていただきたいですね。
ところで、のいぢ先生はハルヒのタッチを忘れてしまわれたのか。
それとも絵柄自体が変わったのか。
目元の描き方にちょっとした違和感を覚えました。