「金田一37歳の事件簿」 第5巻感想

この記事は

「金田一37歳の事件簿」第5巻の感想です。
ネタバレあります。

はじめに

1億部突破記念企画が全体的にショボくてしょんぼり。
それとは別にフジテレビ系列で放送中の「KinKi Kidsのブンブブーン」にともさかりえさんが出演されたようですね。
くそぅ、見てなかった。
あとでネットニュースで知ったのですけれど、「金田一」の話に花を咲かせたとか。
放送後ともさかさんは、自身のブログで衝撃の過去も語られたようですが、もしも今作がドラマ化となりましたら、懲りずに美雪役で出演して欲しいです。

美雪まだ出て来てないけど…。

美雪の存在をここまでぼかしてくるとは、本当に侮れない天樹先生。
そこまで秘密にする深い理由があるんでしょうか。

さて、第5巻。
京都編解決編と新章・異人館ホテル編のさわりまで収録されていました。
感想です。

なんだか怪しい葉山まりん

どこまでが偶然なのだろうか。
まりんが予約したラブホテルは、リベンジポルノが撮られた部屋と同じだった。
まりんが行こうと提案した居酒屋で、上下逆の花瓶と足跡消失トリックのヒントを得た。
その帰り、影を避けて歩くまりんを見て、トリックの全容を掴んだ。

メタ視点とはなりますが、フィクションにはどうしても「出来過ぎた偶然」を覚えることがあります。
特にミステリの場合は、1から10まで計算されて作られていることが多いため、そう感じることもあるかと思います。
今回のことも、助手役のまりんが偶然に探偵のサポートを行っただけと取るのが一般的な解釈。
重箱の隅を突くかの如く、偶然過ぎると声高に叫ぶのは読者として配慮に欠ける行為なのかもしれない。

とはいえ、この物語の背後には、あいつが蠢いているわけです。
ハジメ最大の敵である高遠遙一。
未だ獄中にいる高遠は、しかし、獄中にいながら「オリンポス十二神」になぞらえた11人の殺人鬼を操っていると明かされています。
今回の事件は、その計画性の無さから高遠が噛んでいる可能性は限りなく低く、事件の関係者の中にも高遠の息のかかった者が紛れ込んでいたとは思えません。
まだ出て来てない11人の殺人鬼は、闇の中で復讐の機会を伺っているのでしょう。

さて、まりんです。
高遠の影がどうしても彼女にちらついちゃうんですよね。

一見すると、まりんはハジメを除けば、「最も事件に関係のない人物」のポジションに収まっています。
名探偵の助手役。
若くてかわいいヒロイン。
天然。
なにより、ハジメを好意的に見ている節が多々見られる。

個人的にも、彼女が実は裏の顔を持っていたという展開は嫌なのですけれど、こうまで「怪しくない」要素を並べられると、逆に怪しく見えてしまうのです。

故に、今回の流れも彼女の一挙一動、なにをしても怪しく映ってました。
実は、誰よりも早くに真相に辿り着いて、ハジメにヒントを出していたのではないか。

先に書いたように、この事件が高遠が噛んでないのであれば、彼女がもし高遠の間者だとしても、事件の真相を知る術がありません。
事前に聞かされて知ってましたという訳ではない。
ならば、彼女が真相を知るには、自分の力で推理する必要があって。
まりんが高遠の右腕的なポジションにいて、その頭脳も引けを取らないのだとしたら…。

ただの妄想。
この妄想が例え真だとしても、そこに繋がる手掛かりは一切描かれてないと思う。

事件の真相よりも、なんだかそんなことばかりが頭にあった京都編でした。

異人館ホテル、再び

オペラ座館もそうでしたけれど、過去の舞台に再訪する展開は、やっぱり燃えますね。
不謹慎ながら、ワクワクします。

今回は、やってきました函館異人館ホテル。
個人的には、かなりトラウマを植えつけられた事件です。
当時、佐木1号の死はショックだったなぁ。
彼自身まだ2回目の登場だったし、ハジメとそこまで仲が良いという訳では無かったんですけれどね。
これは先に堂本剛さんのドラマ版(第1シリーズ)で佐木に親しんでいたからだと思う。
堂本版では、佐木はレギュラーでしたからね。(第2シリーズではそもそも出てこなかった。アニメ版でも助かりましたよね)

だからこそ、まさか死んじゃうなんて思ってなくて。
殺す必要のなかった妹を手にかけた事といい、非常に後味の悪い事件でした。

ただ、赤い部屋の密室トリックは大好きなんです。
「金田一少年」全盛期って、こういう心理トリックが上手かったよね。
(この辺のことは、ガイドブックでも天樹先生達は「モノを使った機械トリックよりも心理トリックの方が騙された感が出て好き」というような主旨の発言を残されていました。)
今回も答えを知った時に唸れるような心理トリックを見たいな。
赤い部屋を再度別の観点から見直したトリックだったら尚良し。
期待期待。

んで、キャラの方は、なんだかレギュラーになりそうな警視さんが出てきましたね。
切れ者…ではあるのかな。
それでいて、ハジメを不世出(悪い意味で使う言葉じゃないけど)の連続殺人犯と思い込んでるところに、どこか歴代のポンコツ刑事たちの面影が(笑
居そうでいなかったタイプの刑事かも。
彼との戦い(?)にも注目ですね。

あと、いつきさん!!
再登場は素直に嬉しい。
そっか、まだ52歳なのね。
もうちょっと年上だと思い込んでました。
…そっか…そっか…。
…「少年」時代は32歳で、当時女子高生を食っちゃってたのか…。
今だったら確実に逮捕案件だなぁ(汗

うん。
なんだか佐木のことで不穏な空気を出そうとされてますが、間違ってもいつきさんを殺すような真似はしないで欲しいです。

終わりに

なんだか動向の気になるキャラが増えてきた感があります。
まりんにいつきさん、そして、新キャラの幸村警視。
函館を舞台に彼らがどんなドラマを紡ぎ、事件に関わっていくのか。
楽しみなポイントが増えました。

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